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大阪地方裁判所 昭和46年(わ)1769号 判決 1979年2月19日

一、本店所在地

大阪府堺市熊野町東二丁目一一番地

商号

堺商事株式会社

代表者

代表取締役 池田潤一

一、本店所在地

大阪市北区曽根崎上一丁目七番七号

商号

新興観光商事株式会社

代表者

代表取締役 池田潤一

一、本店所在地

大阪府東大阪市足代新町一丁目二二番地

商号

布施観光商事株式会社

代表者

代表取締役 池田潤一

一、本籍

大阪市南区心斉橋筋二丁目三一番地

住居

大阪府豊中市中桜塚一丁目二三番二〇号

会社役員

池田潤一

大正一三年一月三日生

出席検察官

上野富司

主文

被告法人堺商事株式会社を罰金二〇〇万円に、

被告法人新興観光商事株式会社を罰金八〇万円に、

被告法人布施観光商事株式会社を罰金二五〇万円に、

被告人池田潤一を懲役八月に、

それぞれ処する。

被告人池田潤一に対し、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、別紙(1)訴訟費用負担一覧表のとおり、それぞれ各被告法人と被告人池田潤一の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告法人堺商事株式会社は大阪府堺市熊野町東二丁目一一番地に本店を置きカフエー業「ミス堺」を経営するもの、被告法人新興観光商事株式会社は大阪市北区曽根崎一丁目一三番地の一(現在は同所七番七号に表示変更)に本店を置きカフエー業「クラブナイト」等を経営するもの、被告法人布施観光商事株式会社は大阪府東大阪市足代新町一丁目二二番地に本店を置きキヤバレー業「ミス布施」等を経営するもの、被告人池田潤一は右各被告法人の取締役としていずれもその各業務全般を統括しているものであるが、被告人池田潤一は、

第一、被告法人堺商事株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

一、被告法人堺商事株式会社の昭和四二年四月一日から昭和四三年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が一八、九四六、四三七円、これに対する法人税額が六、二六六、三〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上ビールの仕入及び売上の一部をそれぞれ除外し、これによつて得た資金を架空名義の預金にするなどの行為により、右所得金額中一四、三七一、一四七円を秘匿したうえ、昭和四三年五月三一日大阪府堺市堺税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が四、五七五、二九〇円、これに対する法人税額が一、二六三、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税五、〇〇二、九〇〇円を免れ、

二、被告法人堺商事株式会社の昭和四三年四月一日から昭和四四年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が二一、五七〇、〇三〇円、これに対する法人税額が七、一一二、九〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中一一、〇一二、一三〇円を秘匿したうえ、昭和四四年五月三一日前記堺税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が一〇、五五七、九〇〇円、これに対する法人税額が三、二六九、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税三、八四三、五〇〇円を免れ、

第二、被告法人新興観光商事株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

一、被告法人新興観光商事株式会社の昭和四二年九月一日から昭和四三年八月三一日までの事業年度において、その所得金額が七、三一四、〇九八円、これに対する法人税額が二、三四九、九〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上のビールの仕入及び売上の一部をそれぞれ除外し、これによつて得た資金を架空名義の預金にするなどの行為により、右所得金額中三、〇九〇、〇九八円を秘匿したうえ、昭和四三年一〇月三一日、大阪市北区北税務暑において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が四、二二四、〇〇〇円、これに対する法人税額が一、二六八、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一、〇八一、五〇〇円を免れ、

二、 被告法人新興観光商事株式会社の昭和四三年九月一日から昭和四四年八月三一日までの事業年度において、その所得金額が一一、九一五、四九三円、これに対する法人税額が三、九五四、三〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中六、七七三、五〇七円を秘匿したうえ、昭和四四年一〇月三一日、前記北税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が五、一四一、九八六円、これに対する法人税額が一、五八三、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税二、三七〇、九〇〇円を免れ、

第三、被告法人布施観光商事株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

一、被告法人布施観光商事株式会社の昭和四二年七月一日から昭和四三年六月三〇日までの事業年度において、その所得金額が二〇、九六七、〇八六円、これに対する法人税額が六、九四七、四〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上ビールの仕入及び売上の一部をそれぞれ除外し、これによつて得た資金を架空名義の預金にするなどの行為により、右所得金額中一三、四二五、一九二円を秘匿したうえ、昭和四三年八月三一日、大阪府東大阪市布施税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が七、五四一、八九四円、これに対する法人税額が二、二六四、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税四、六八三、一〇〇円を免れ、

二、被告法人布施観光商事株式会社の昭和四三年七月一日から昭和四四年六月三〇日までの事業年度において、その所得金額が二六、五二六、一三三円、これに対する法人税額が九、〇七二、九〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中一八、七三八、三二九円を秘匿したうえ、昭和四四年九月一日、東大阪市東大阪税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が七、七八七、八〇四円、これに対する法人税額が二、五一四、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税六、五五八、七〇〇円を免れ

たものである。

なお、各被告法人の各事業年度についての修正損益計算書および修正税額計算書は別紙(2)ないし(10)のとおりである。

(証拠の標目)

判示各事実につき

一、被告人池田潤一の当公判廷における供述、検察官に対する各供述調書

一、第一五回、一六回、一七回各公判調書中証人水野良博の各供述部分

一、第一九回、二〇回各公判調書中証人松岡醇一の各供述部分

一、証人松岡醇一の当公判廷における供述

一、第二一回公判調書中証人綿本成次郎の供述部分

一、第二二回公判調書中証人宮崎英夫の供述部分

判示第一の各事実につき

一、被告法人堺商事株式会社の各法人登記簿謄本、定款写、各法人税確定申告書写

一、第四回、五回、六回各公判調書中証人伊部正の各供述部分

一、証人伊部正の当公判廷における供述

一、伊部正の検察官に対する各供述調書(昭和四六年五月二四日付を除く)

一、伊部正作成の確認書

一、上田元春の検察官に対する供述調書

一、押収してある金銭出納簿一冊、元帳及び経費明細帳一綴、総勘定元帳一綴、売上日記帳二綴(昭和四八年押第二〇一号の三、七、八、九、一〇)

判示第二の各事実につき

一、被告法人新興観光商事株式会社の各法人登記簿謄本、定款写、各法人税確定申告書写

一、被告人池田潤一作成の上申書(昭和四五年九月一二日付)

一、第一八回公判調書中証人守山光平の供述部分

一、大蔵事務官守山光平作成の各調査事績報告書、調査報告書

一、大蔵事務官綿本成次郎作成の調査報告書

一、押収してある総勘定元帳三綴(前同押号の四、五、六)

判示第三の各事実につき

一、被告法人布施観光商事株式会社の各法人登記簿謄本、定款写、各法人税確定申告書写

一、第七回、八回、九回、一〇回、一二回各公判調書中証人森田喜八郎の各供述部分

一、森田喜八郎作成の上申書

一、宮浦利彦作成の確認書

一、東野之美作成の供述書

一、大蔵事務官水野良博作成の調査書(抄本)

一、押収してある日章デスクノート一冊、上様納品票一綴、元帳現金出納帳二綴、経費帳仕入帳一綴、酒類商品出入帳関係一綴、酒類残高報告用伝票控七冊(前同押号の一、二、一一、一二、一三、一四、一五)

(当裁判所の判断)

一、被告法人堺商事株式会社の所得算定について

売上高(簿外)を推計するにあたり、公表と簿外のビール一本当りの売上単価の減差率(検察官主張率九三%)を八七・五%と認定したことおよびビールの仕入本数(いわゆる「ホステス仕入」と「松岡商店仕入」分)が検察官主張の本数より少ないものと認めたため、各事業年度ともそれぞれ検察官主張の所得額を減修正することとなつた。その具体的内容は前掲修正損益計算書(別紙(2)、(3))および別紙(11)、(12)、(13)、(14)、(15)に記載のとおりである。

二、被告法人布施観光商事株式会社の所得算定について

売上高(簿外)を推計するにあたり、店内交際用に使用したビール本数(検察官主張本数月四八本)を一二月は三〇〇本、その他の月は一五〇本と認め、それに応じて売上推計の基礎となるビール本数が減少したため、各事業年度とも検察官主張の所得額を減額修正することとなつた。その具体的内容は前掲修正損益計算書(別紙(6)、(7))および別紙(16)、(17)、(18)に記載のとおりである。

(法令の適用)

被告法人堺商事株式会社につき

一、判示第一の一、二の各所為

各法人税法一六四条一項、一五九条一項

一、併合罪処理

刑法四五条前段、四八条二項

一、訴訟費用

刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条

被告法人新興観光商事株式会社につき

一、判示第二の一、二の各所為

各法人税法一六四条一項、一五九条一項

一、併合罪処理

刑法四五条前段、四八条二項

一、訴訟費用

刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条

被告法人布施観光商事株式会社につき

一、判示第三の一、二の各所為

各法人税法一六四条一項、一五九条一項

一、併合罪処理

刑法四五条前段、四八条二項

一、訴訟費用

刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条

被告人池田潤一につき

一、判示各所為

各法人税一五九条一項(各懲役刑選択)

一、併合罪処理

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第三の二の罪の刑に法定の加重)

一、執行猶予

同法二五条一項

一、訴訟費用

刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 栗原宏武)

別紙(1)訴訟費用負担一覧表

<省略>

別紙(2) 過少申告脱税犯

修正損益計算書

自 昭和42年4月1日

至 昭和43年3月31日

堺商事(株)

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(3) 過少申告脱税犯

修正損益計算書

自 昭和43年4月1日

至 昭和44年3月31日

堺商事(株)

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(4) 過小申告脱税犯

修正損益計算書

自 昭和42年9月1日

至 昭和43年8月31日

新興観光商事(株)

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(5) 過少申告脱税犯

修正損益計算書

自 昭和43年9月1日

至 昭和44年8月31日

新興観光商事(株)

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(6) 過少申告脱税犯

修正損益計算書

自 昭和42年7月1日

至 昭和43年6月30日

布施観光商事(株)

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(7) 過少申告脱税犯

修正損益計算書

自 昭和43年7月1日

至 昭和44年6月30日

布施観光商事(株)

<省略>

<省略>

<省略>

別紙(8)

税額計算書

堺商事(株)

<省略>

別紙(9)

税額計算書

新興観光商事(株)

<省略>

別紙(10)

税額計算書

布施観光商事(株)

<省略>

別紙(11)

認定内容一覧表

堺商事(株)

<省略>

別紙(12)

堺商事(株)

<省略>

別紙(13)

簿外売上及び簿外利益

堺商事(株)

<省略>

別紙(14)

簿外仕入

堺商事(株)

<省略>

別紙(15)

受取利息

堺商事(株)

<省略>

別紙(16)

認定内容等一覧表

布施観光商事(株)

<省略>

別紙(17)

簿外売上及び簿外利益

布施観光商事(株)

<省略>

別紙(18)

受取利息

布施観光商事(株)

<省略>

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